住宅の換気は大問題! 「パッシブ換気」を解説【札幌】

住宅づくりの大事なヒントをお伝えします


せっかく憧れのマイホームを実現しても、

ダニやカビ

結露などによるアレルギーや喘息

などの健康問題、住宅の劣化などに直面したら…。

札幌市白石区の住宅会社「いえずきホーム」の山本誠治です。私は長年住宅業界で働くなかで、お客様の要望を伺い、最適な設計、プラン、見積もり、工事監理、お引渡しからアフターメンテナンス、リフォームに至るまでをたくさん担当させていただきました。

大変勉強になることばかりです。そうして身に着けた知識・経験の中には、お客様との打ち合わせの中で、お伝えしたい大事なポイントがたくさんあります。

でも、お客様との打ち合わせでは、お客様側のご要望を伺うことが優先で、なかなか家づくりのポイントについて、一からお話する十分な時間を確保することが難しいのです。そこで今回から、住宅を建てる方にぜひとも知っておいていただきたい、家づくりの大事なポイントをブログで連載していきます。第1回は、住宅の換気は大問題!「パッシブ換気」を解説についてお話します。

家を建てる人が見落としがちなのが「換気」

住宅の換気システムは、とても多くの課題があるにも関わらず、マイホームを建てる人の多くが「換気」にさほど注目していません。住宅会社側も十分な説明をお客様にしない傾向があります。

「予算」「間取り」「デザイン」「キッチン」などのほうが、お客様の興味があるテーマだからかもしれません。換気がきちんと機能していない「問題あり」の住宅は皆さんが思われているよりずっと多い。そこで今回は住宅の換気についてお話します。

家の中では水蒸気もにおいも増え続ける

住宅の内部には、住人の生活に関するさまざまなこと(調理・呼吸・発汗・入浴・排泄など)により、二酸化炭素や水蒸気、臭気などさまざまなものが溜まっていきます。

ペットのにおいや、家具やカーペットなどからのホルムアルデヒドなど揮発性有機化合物(VOC)も増えていきます。住宅内の特定の場所に、換気が不十分な場所があると、そこの水蒸気量が増え結露やカビの温床になるばかりでなく、壁内の木材や断熱材を劣化させたりもします。カビの胞子やダニ、揮発性有機化合物(VOC)は、アレルギーや喘息のきっかけになったりと、住人の健康にも少しずつダメージを与えます。焼肉やペットなどのにおいは、たとえ住人が気づかなくても家に染みつき、来客は気づきます。

家づくりの局面で「換気」をどうするかは家族の健康、住み心地、住宅の寿命に関わる大きなテーマです。換気方式にはそれぞれメリットデメリットがありますが、住宅会社はそれぞれ、自社の換気方式をある程度決めています。つまり住宅会社を選ぶ前に、換気方式をどれにするか、先に決めておかないと家づくりに失敗する可能性もあるのです。

機械換気が主流。でも深刻な問題がある

外気のフレッシュな空気を室内に取り込み、代わりに、汚れた空気を屋外に排出するのが住宅の換気です。建築基準法では、ホルムアルデヒドなど、有害化学物質による健康被害を防ぐため、1時間の間に、室内の空気の約半分を入れ替えるべきという換気回数の基準(換気回数0.5回/h以上)が定められています。

窓の開閉などでも一時的な換気はできますが、常時、健康的な室内空気環境を維持するために、1時間置きに家全体の窓を開閉する、というのは現実的ではありませんね。特に当社のある札幌・北海道では、冬に窓を開けて外気を直接取り入れる換気、は室内が冷えすぎて無理でしょう。

そこで現代の住宅では、機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)が設置されています。機械換気は24時間絶え間なく、自動で換気が稼働し続けられるメリットがあります。一方で、住宅会社は、お客様にほとんど説明することはありませんが、機械換気にはいくつか大きな、深刻な課題があります。

3か月に1回、家じゅうのフィルターを掃除できますか?

まず第1に、機械換気は屋外から室内に空気を取り込む「給気口」にフィルターを設置する必要があります。

機械換気は、給気口か排気口のどちらか、あるいは両方に機械を設置して強制的に空気を動かします。機械の力で屋外と室内の空気を強く、24時間休みなく入れ替えし続けているので、ほこりや花粉、虫など、屋外のいろいろなものが室内に入りやすい仕組みです。

換気フィルターにびっしり着いた汚れ

換気フィルターにびっしり着いた汚れ 写真提供:三浦眞オフィス(パッシブシステム研究会事務局長) 

だから給気口にフィルターを付けて、ほこりなどの侵入を防ぐ必要があります。排気口の側からも虫などの侵入を防ぐために目の粗い網が設置されています。

その結果、当然ですが、給気口に設置してあるフィルターには、花粉やほこり、虫、PM2.5などが付着します。排気口の網にも、室内側のほこりなどが付着します。機械換気製品の取り扱い説明書には3か月に1回の掃除をすべきと書かれているものが多いですが、3か月も経過するとかなり目詰まりします。

3か月に1回、家全体で6~10か所もある換気用のフィルターを掃除するというのは、結構大変な作業なので、大抵のご家庭で、現実的には実施できていません。もし、換気が目詰まりしているのも気づかず、1年以上も放置していると、まず換気量が激減しているので、室内の水蒸気やにおいが室内に溜まり、結露やカビ、においなどが問題を起こしはじめます。

さらに数年放置していると、フィルター自体がボロボロになり、掃除ではなく交換しなければならなくなります。フィルターが知らないうちに目詰まりし、換気が不十分になり、室内のハウスダストなどが少しずつ増えても、結露が生じていても、住民はすぐには気づきません。

また、フィルターが天井や床下にあるタイプなら、フィルターの掃除自体が大変だったり、ダクトのあるタイプなら、ダクト内の掃除は定期的にプロにお願いするしかない、といった問題もあります。このように、機械換気のメンテナンスはお客様の負担が大きいうえに、メンテナンスをしないと大きな問題も招くわけです。

なのでハウスメーカーや工務店の担当者は、お客様に住宅を完成お引渡しするタイミングなどに、換気のフィルター掃除をこまめにやってくださいね?とお話する会社が多いと思います。でも、説明しつつも内心、「そんなにこまめにフィルター掃除をやってくれるかどうか…」と思っています。でもそう言わざるを得ないわけです。

いえずきホームはパッシブ換気をおすすめ!

新築住宅の換気方式の主流を占める機械換気は上記のような大きな課題があるものの、住宅会社としては、施工も楽、住宅業界の主流でもあるので、課題には目をつぶって、お客様次第、という意識でご提案しているのが現状です。

しかし、フィルター掃除の負担の大きさと、室内空気環境による住人の健康、そして住宅の劣化防止は、とても大事なポイントのはず。

そこでいえずきホームは、換気方式は「パッシブ換気システム」を標準にしています。

パッシブ換気は、機械を使わずに換気を行う、換気と暖房を同時に行うという北海道大学の繪内正道名誉教授が提唱し、産学官連携で開発されたシステムです。私は、これまで50棟以上のお宅で、パッシブ換気方式をご提案、採用させていただきました。お客様に高い評価をいただき、非常に優れた換気方式だという自信があります。

パッシブ換気システムは暖房に使われたエネルギーで換気を行うもので、まず地中埋設管を通し新鮮な外気を床下に取り入れます。

床下に設置された暖房機で暖められた新鮮空気は暖気の上昇力により足元から天井まで、家中をやわらかく循環し、同時に汚れた室内の空気を排気筒から排気します。

自然のエネルギーだけで空気を循環させるこの換気システムは、機械動力を使わないから電力消費がゼロ(湿度や温度のセンサーで換気流量や湿度の制御は行います)。換気の作動音もしません。室内の空気が安定してフレッシュな状態を維持でき、家全体がもれなく暖かい。室内の壁際などに暖房機を設置する必要がない(暖房機は床下にある)というのもメリットです。一年中快適に暮らせて、家計にも環境にも優しいのが特徴です。

フィルター掃除の呪縛から解放される

パッシブ換気システムは上記のような仕組みで、大変優秀なので、いえずきホームでは標準仕様にしています。

機械による強制換気ではない、温度によってゆるやかに空気が移動すること、吸気口が下向きになっていることもあり、埃やpm2.5など、空気より重いものは給気口からは入りません。なのでフィルターの設置は必要なく、3か月に1回、家中の10か所以上のフィルター掃除という、かなり実現が難しい呪縛から解放されるのです。

メンテナンスフリーの家づくりを実現したい

住宅は、適切なメンテナンスをしないと劣化が進み、さまざまな問題が生じます。

換気のフィルター掃除は、手を抜くと室内空気環境に大きな問題を及ぼすし、実際に3か月に1回、家全体のフィルター掃除を実施できている人はほとんどいません。また換気用モーターも電化製品なのでいつかは交換しなければなりませんが、故障したまま放置されていることもあります。できない仕組みを前提にした家づくりは間違っている。そこで、いえずきホームはパッシブ換気を標準仕様にしています。

同じ趣旨(できるだけメンテナンスの手間がかからない家づくり)で、外壁や屋根なども、メンテナンスやリフォームの手間を極力減らせる素材をおすすめしています。

外壁も耐候性を重視したブレスレンガや16ミリ厚のサイディング。屋根材もガルバリウム鋼板と天然のストーンチップで構成するコロナルーフは耐久性が高く美観も優れています。家を建てて10年、20年経過しても家の機能、美観がほとんど劣化せずトラブルが少ない家。間取りなどもオーナーの10年後20年後の家族構成やライフスタイルも想定したご提案をさせていただくのがいえずきホームの家づくりです。

パッシブ換気の弱点は?

どのような工法、建材にも弱点はあります。パッシブ換気の弱点は、

隙間総統面積(C値)1.0㎠/㎡以下
熱損失係数(Q値)1.6kcal/m2以下

上記の気密性能、断熱性能を上回らないと、計画通りの換気が機能しない点です。

パッシブ換気を採用できる住宅会社が、札幌市内で数社しかないのは、気密施工を理解している現場管理者と大工さんがいないと上記の断熱・気密性能が確保できないからです。たとえ良い換気方式でも、どのハウスメーカー・工務店でも導入できるというわけじゃないので、普及が進まないのです。

いえずきホームのように、NPO法人パッシブシステム研究会に加盟し、繪内正道理事長(北海道大学名誉教授)をはじめ、志ある住宅会社と技術を学びあい、実践を積まないと提案できないのです。パッシブ換気の中途半端な知識・経験ではパッシブ換気を導入しても、空気がしっかり循環しない、家がしっかり温まらない、十分な能力を発揮できないこともあるのです。

パッシブ換気を50棟以上の住宅で導入させていただきましたが、換気に関する大きなトラブルはこれまでありませんでした。換気に興味を持っていただいたお客様に丁寧にご説明をさせていただけるのはうれしいことですが、やや専門的な内容なので、詳しい説明はいらないということでしたら、当社の提案で導入させていただいています。

実際に、室内が暖かく、快適で悩みが発生しないというお声をお客様からいただいております。機械換気では「室内が乾燥しすぎる」という悩みが寄せられることもありますが、パッシブ換気ではこういう悩みもほとんどありません。パッシブ換気システムは、優秀なので、導入後5年10年たつと、オーナー様は換気の不満がないし、意識することなく快適な暮らしを続けられるのです。

次回の連載は「住宅の価格」について

連載1回目は、換気についてお話させていただきました。

連載の2回目は、皆さんの関心が高く、

また正しい答えが何なのかわかりにくい「住宅の価格」についてお話します。お楽しみに。